『ゆにこ』立ち上げの経緯を教えてください。
大学生の頃から、子どもに関わる仕事をしたいと考えていました。
また、会社の経営にも興味があったため、ゆくゆくは幼稚園や保育園を創りたいと考えていました。
福祉を先行していたため、児童、障害、高齢とそれぞれの分野で活躍されている先生方のお話を聞いて、学ぶことができましたが、まさか、障害児分野で起業をするとは、考えていませんでした。
その後、経営を学ぶために、会計事務所に勤務するのですが、数年勤務した後、放課後等デイサービス事業の立ち上げの誘いを受け、障害児支援の分野に足を踏み入れました。
はじめはわからないことも多く、ただひたすら、子どもたちに喜んでもらいたい想いで、取り組んでいました。
支援の拠り所となることは何かと、発達・障害について勉強していくうちに、支援の楽しさにどんどん引き込まれていきました。
立ち上げた他事業所も軌道に乗ったこともあり、独立して、『ゆにこ』を立ち上げることとなりました。
『ユニバーサル社会の創造』をミッションとしているとのことですが、具体的にはどのようなことですか?
ユニバーサル(Universal)は共に生きるといった意味で、『ゆにこ(uni-co)』の名前を構成する言葉でもあります。
そもそも、皆さんは障害について、どのようなイメージを持っているでしょうか。
テレビやネットでの情報、身近にも障害がある方がおられるとその方をイメージするかもしれません。
私の障害のとらえ方として、まず大きい枠組みでとらえると、社会で生きていくうえで、何かしらの生きづらさがあることです。
生きづらさとは、その方がツラいと感じているかどうかに関係なく、実際にサポートが必要かどうかという意味も含みます。
そのような漠然とした表現になると、誰でも当てはまるのではないか?と言われそうですが、まさに私は誰でも社会に対して障害となる部分がある、と思っています。
でも、多くの方は、自分自身で解決することができる場合が多い。
その前提で、皆さんがイメージする『障害』は私の認識では、狭い枠組みでとらえている『障害』だと思っています。
生きづらさが、自分だけでは、対処できなくて、サポートが必要である状態、が障害だと思います。
私たちは、現在、その狭い枠組みでの障害がある方に対して、支援を行っています。
障害がある方に関わったことがない方は、障害者は自分と違う存在、と考えていて、どこかに線引きがあると思われている方が多いように感じます。
でも、本当はそんな明確な線はなくって、みんな同じだと思います。
当たり前のことなのですが。
ただ、国の制度として、一定の線引きをしないといけない、それだけだと思います。
まず、意識の問題として、すべての人が、多様な人々がいることを知って、受け入れる必要があると理解する。そして、実際に、サポートが必要なときに、それを受けることができる。それが『ユニバーサル社会』だと、思いますし、私たちは、まず、障害児支援という分野でそれを達成できるように行動していく必要があると考えています。
ゆにこをどのような事業所にしたいと考えていますか?
子ども達の幸せを1番に考えることができる事業所にしたいと考えています。
「障害児支援施設なんだから当たり前だろ」と叱られてしまいそうですが、その当たり前ができていないことが多くあるように思います。
例えば、私たち、放課後等デイサービスの事業は、サービスは子供たちに行いますが、利用を決定するのは保護者様です。
保護者様のご要望、想いを受け止めることも私共の大切な役割ではありますが、その部分の比重が大きくなりすぎて、子どもの支援が置いてけぼりになることがあります。
本当に子ども達の幸せを考えて、支援するためには、保護者さんをはじめ、関係機関との連携をしっかりもち、それぞれに理解を得ながら、自分たちがすべき支援を考えて、実行する力が求められます。
ただ、楽しく、ご来所いただいている時間を過ごしていただくことも大切ですが、その支援が子どもの未来のためになっているのか、幸せのためになっているのかを考え続けます。
大学生の実習の受入れなども行っているようですが、なぜですか?
ミッションのところでもお答えしましたが、障害についての理解を広げたいと考えているからです。
龍谷大学の学生さんですが、法人で毎年10人程度お受けをしています。
また、それに関連した講義を年1回大学に出向いて、お話をさせていただいています。
講義は100名程度の学生さんが聴講してくださいますが、そこでの話に興味を持ってくれた学生さんも実習に参加していただいているようです。
講義を聞いて、アルバイトに応募してくれた学生さんもいて、実際に働いてくれています。
私も学生時代に、講義に話をしに来てくださった方もいらっしゃいましたが、実際ボランティアやアルバイトをするに至りませんでした。
少しでも、学生さんに響くお話をして、体験していただくことで、障害への理解を深めてもらえると嬉しいと考えています。